縁ってこういうもんなのかな? そう思わざるをえませんでした。会うはずのない人に、会うはずのない場所で、会うはずのないときに会ったんですから。

 練習開始前、ドジャータウンを“散策”しているときのこと。遠くから3人の選手がランニングしているのが見えます。なんだか日本人っぽい。どこかの大学がキャンプでもしてるのか(←んなわけないやろ!)と思いながら歩いていると、見覚えのある顔が! 「目を丸くする」とはまさにこういうときのためにある言葉なのだと実感しました。驚いてお互い一瞬止まりましたね、マジで。

「こ、こんにちは」

 高校時代と変わらぬあどけない笑顔を浮かべてあいさつしてくれたのは、近鉄の近藤一樹君。日大三高が優勝後、僕はほとんど「三高生」でした。そのうち何日かは「三高野球部員」にもしてもらいました。プロ選手に対して「君」づけは失礼なのなは十分承知してはいますが、高校時代のグランドを離れた素顔を知っています。まだまだ「近藤君」というイメージがぬけないもので…。

「何でここにいるの?」

「留学みたいな感じで近鉄の3人で来たんです」

「近鉄の3人」とは近藤君と同期の朝井秀樹君、谷口悦司君(←今回は掛布さん風に「君」づけでいかせてもらいます)。日本にいればスポーツ紙の片隅で3人がドジャースのキャンプに参加するニュースを見つけられると思いますが、残念ながら僕にはその情報がありません。聞けばベロビーチ入りしたのはきのうの夜だそうで、まさにドンピシャのタイミングだったわけです。当初からドジャースキャンプはこの日1日だけの予定だったので、尚更「縁」を感じずにはいられませんでした。

 初日ということで、彼らは時差ぼけ解消の調整日。そのおかげで、彼らと話をする時間がたっぷりあったのも幸運でした。中でも谷口君の話にはいくつも興味深い内容が含まれていました(ここには書けない話ですみません)。彼はプロ1年目の昨年に手術。1、2軍ともに登板する機会がありませんでした。それだけに「今年こそ」という気持ちが強いのでしょう。こんなことを言っていました。

「アメリカ行きを聞いたとき、最初は何でオレやねん! って思いましたよ」

 キャンプ終盤、大阪ガスとの練習試合で5回をほぼ完璧な内容で零封。左腕不足に泣かされる首脳陣に「左腕・谷口ここにあり」をアピールしただけに、開幕一軍が消えたショックがあったようです。

「でも、たった3人だよ。来るだけでも相当金かかるわけだし、期待されている証拠だと思うけど」

「そうですよね。いい経験ですよね。頑張れば試合にも出れるらしいんですよ。去年近沢(昌志)が来て、2イニング守ったらしいです。僕もそれを目指します。今年はやらなアカンから頑張りますよ。見ててください!」

 言葉通り、他の2人が時差ボケで“爆睡”中も誰もいないグランドでひとり黙々とランニング、ストレッチ、壁に向かっての投球など体を動かしていました。

 自分自身の話から技術的な話、高校時代の話、その他の話…。関西人らしいテンポのよさ、ときおりギャグを交える谷口君とのトークは時間を忘れさせる楽しいものでした。とりあえずは大阪での再会を約束しましたが、ぜひ一軍に定着して東京遠征で再会したいものです。

 最後に、朝井君のことも書いておきたいと思います。今回が初対面でしたが、彼は僕がスポーツライターだとわかった瞬間、

「あ、朝井です。よろしくお願いします」

と、どもりながら自分からあいさつしてくれました。わかりやすい!(笑)でもその純朴さが彼の人間性を表しているような気がします。

 高校時代あれだけ騒がれ(3年夏前の予選展望号は2つの雑誌で表紙)、しかもドラフト1巡目での入団。暴力事件当時のPL出身ということもあり、僕の中には違ったイメージがありましたが、いいほうに裏切られました。少なくとも、性格や人間性が成長を妨げるようなことはないでしょう。

 2人部屋にもう1つベッドを入れた“急造”3人部屋で生活している彼ら。初日から「メシが合わない」とこぼしていましたが、そんな生活もきっといい経験になるはず(←同じことに悩む僕自身、自分で自分にそういい聞かせてます)。フロリダで真っ黒に日焼けしてたくましくなった彼らに再会するのが今から楽しみです。がんばれ、同期3人衆!!

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